子ども虐待は、公衆衛生と社会福祉に影響を及ぼす世界的に重大な社会問題である。被虐待という心的外傷体験の蓄積は、脳の構造や機能の発達、さらに心理社会的発達に深刻かつ長期的な悪影響を及ぼすという報告は多い。（Cortes Hidalgo, A. P. et al., 2022）虐待を減らし、一人でも多くの心身ともに健全な子どもを育成するためには、養育者側にも焦点を当てた生物医学的視点からの予防・介入・治療を試みる必要がある。
本研究では、マルトリートメント（養育不調）を来たす養育者へアプローチし神経生物学的な病理機序を解明することで、これまで手がかりが少なかった養育不調者への介入・治療方針を、生命医学的エビデンスに基づきRCT、実臨床へと繋げる成果へ発展させることが期待される。

子どものこころの発達研究センター・友田明美